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当社では伝統的に,特許出願件数や実施特許件数などに目標値を各年度で設定して,達成状況を社内で公開している。目標値は経営企画部と各事業部門で相互に検討した上で決定する。常に管理して,毎月最新状況を示す。技術者のモティベーション向上に加えて,全社員が自社の技術動向に常に関心を持つことを目的にしている。 現在当社が保有する登録特許は,共同出願を含めて約900件である。ここ数年の特許戦略の柱は,保有特許の「棚卸し作業」と有効活用の検討だった。 6〜7年前に「特許会計」の考え方を採用して以来,費用や事業戦略との関係から特許を多角的に検討してきた。当時,当社が出願する特許は,年間1,000件に及んでいた。(ア)出願から登録,その後の管理に必要な費用を各特許・各事業に応じて割り出し,(イ)ロイヤルティ収入,(ウ)自社で製品化した特許の場合は「みなし収入」として,試算した。 こうした作業に基づいて,4〜5年前からは,特許の「質」にこだわる戦略へ転換した。特に事業戦略との関連性を重視した「パテント・ポートフォリオ」の構築に努めている。 「作業効率」と「有効性」の両立 2003年度,年間の特許出願件数は盛時の1/3程度になった。しかしながら,正比例してコストが1/3になるかといえば,否である。質の高い特許,本当に「強い特許」を創り上げるには相応のコストが必要になるからである。 確かに,パテント・ポートフォリオを構築する際に,費用や作業を効率化することは基本である。一方で,大局的に特許が持つ質の高さや権利としての強さ,事業戦略との関係といった「有効性」を考えた場合,単純な意味での効率化では計れない要素が生じる。例えば,当社はオンライン・システムを使って,技術者が特許明細書を仕上げた後に電子文書化して登録する。仕上げまでの過程で技術者と知的資産グループの担当者は数度にわたって意見交換を実施する。この作業もシステム化が可能だったが,あえてそうしていない。明細書をまとめる作業は権利化の基本であり,かつ要(かなめ)である。それゆえ,担当者同士で直に意見を交換する作業が持つ意味を重視している。「作業効率」と「有効性」のバランスをいかにとっていくか,そこにパテント・ポートフォリオ構築の意義がある。 多様化する知財業務への対応 近年,知的資産に関連する業務は多様化している。多様な業務に共通していることは,「事業戦略との関連性を常に意識して業務を方向付けていく」という姿勢である。それゆえに,当社は時流に適合した他社の知財を見出して,開発設計を通して具体化・商品化することも主要な事業と捉えている。知財といえども,時々刻々その価値が変化していくので,他社の知財も活用している。そのため,最近は事業上で他社とアライアンスを組む機会が増え,契約に関連した業務の比率が高まっている。 加えて,侵害への対応業務が増加している。他社による侵害対策を進める一方,自社が他社技術を侵害しないように,未然に対処している。現在のところ,大規模な係争などは生じていないが,知的資産グループだけでなく事業部門を含めて,侵害対策は今後重点的に対応すべき課題と考えている。 理想は「オール・ラウンド型」人材 知的資産グループに所属する社員には,広範な業務領域に対応できる能力を求めている。技術に関する一定の知識,法務知識,そして事業を理解する能力,この3つをバランスよく兼ね備えて,業務を遂行できることが理想型である。現在,知的資産グループの所属社員は,事業部門から異動してきた者が数名いるが,ほぼ入社当時から知的資産業務に就いてきた。彼らの入社前の出身学部は技術系で,基礎的な技術を理解する能力は十分に備えている。その点では,法務知識と事業への理解力がカギとなる。 能力向上については,社内での勉強会のほか特許庁が主催する実務セミナーなど外部の教育プログラムなどに参加している。さらにNECの研修制度を活用する場合がある。所属社員の中には2003年に弁理士資格を取得した者がおり,自己研鑽への意識は総じて高い。 3つの能力に加えて,これからは交渉力の養成を重視したい。自社内の技術者とのやり取りと,契約先あるいは係争相手といった外部との交渉力,両方が必要である。(次回に続く) (前回の記事)
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