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複眼思考ができるπ型の知財人を目指してほしい 新年を迎え,将来に向けた新しいチャレンジとして知財分野でキャリアアップを考えている人も多いはず。そこで知的財産検定2級対策公認セミナーの講師を担当している土生哲也先生に,どんな知財スキルを持ったビジネスパーソンとしてこれからのキャリアアップ,キャリアパスを考えるべきなのか,そのために知的財産検定をどのように活用すればよいのかについて聞いた。(聞き手:テクノアソシエーツ 加藤芳男) ここ数年,知財に対する社会的な関心が高まり,どちらかといえば地味な分野と考えられてきた知財の世界に光が当たってきたことは喜ばしいことだと思っています。ただ,知財分野の仕事は専門性と実務能力が求められるため,専門領域だけに特化しがちで,ともすると外部の人々との交流が不足する傾向があったと思います。 今でも知財の問題は,知財部に任せきりという企業がまだまだ多いのが現状です。 知財分野でキャリアアップを目指すこれからの若い人たちに対して特に言いたいのは,知財の専門分野のことしかわからない「知財屋」になることなく,複眼思考ができるπ型のビジネスパーソンを目指してほしいということです。π型というのは専門性の軸を2つ持つという意味です。 知財に加えてもうひとつ強みを持つ もちろん,大前提として知財の専門知識を持つことは不可欠ですが,それに加えてもうひとつ自分の強みを持ってほしいのです。 私は金融機関の出身で,そこでベンチャーキャピタル業務などをてがけ,現在も特許事務所を経営する立場で多くの企業経営者の方々との交流があります。現実のビジネス世界ではビジネスの戦略と知財戦略が一体不可分の状態で展開するのが当たり前で,ビジネスを知財の視点から眺める,また逆に知財をビジネスの視点から検証するという作業が不可欠となっています。 ところが,知財のイロハも理解していない経営者も驚くほど多く,逆にビジネスの話題を投げかけてもチンプンカンプンな知財屋さんというのも多いんですね。こうした状態は,日本のビジネスにとって大変不幸なことだと思います。 例えば,愛飲されている方も多いのではないかと思いますが,花王の「ヘルシア緑茶」という緑茶飲料があります。このお茶は345mlのペットボトル入りで,何と189円で販売され,全く値崩れしていません。普通の緑茶飲料に比べて50円程度は多く粗利が確保できているという話もあり,花王の収益を大きく押し上げているようです。どうしてそのような価格設定が可能なのでしょうか。この製品についてはマーケティング戦略の成功が語られることが多いようですが,ここまで見事に競合商品を封じ込めているのには必ずや商品戦略とマッチした適切な知財戦略が効果を発揮しているのではないかと推測しています。このように,知財戦略とビジネスをコーディネートし,企業収益にフィードバックができる複眼的な視点を持った人材が何よりも求められているのです。 知財検定の受験者の累計が1万人を超え,知財分野の検定制度としての社会的な認知や評価も飛躍的に高まってきました。けれども,知財検定に合格するためだけに勉強するとするというのでは,はなはだ寂しい気がします。これからのビジネスパーソンが歩んでいく知価社会,知本主義社会では,知財がベースとなり,知財とビジネスが一体となって動いていきます。そこで生まれてくる大きなダイナミズムを知財を勉強することで体感してほしいのです。
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